会社法の条文と解説

会社の種類

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会社の種類

平成19年5月に施行された会社法において
会社は、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社の4種類に分類されています。

有限会社は?

会社法施行前までは有限会社という形態がありましたが
会社法においては、合同会社という形態が新設される一方、
従来の有限会社は、株式会社の一形態に吸収されました。
(会社法制定時に存続する有限会社は、
 特例有限会社として旧有限会社法の規制を受けるか
 商号を有限会社から株式会社に変更するか、どちらかを選択することになる。)

 《旧商法での会社形態》
・株式会社
・合名会社
・合資会社
・有限会社
     ↓
 《会社法での会社形態》
株式会社
合名会社
合資会社
合同会社
・特例有限会社(新規設立はできません)

社員の責任

新会社法に規定される4種類の会社は、
社員(会社の構成員)の責任の取り方・態様が違います。

では、「社員の責任」とはどのようなことを指すのでしょうか?

ここでは、「会社が第三者に債務を負う場合に
社員は、会社の債務に対してどのような義務を負うのか」を考えます。

直接責任と間接責任

会社が第三者に対して負う債務は、もちろん会社自身の債務なわけですが
社員自らも、会社の債権者に対して支払の責任を負わなければならない場合を
直接責任」を負うといいます。

一方、会社に対しての出資義務はあるものの
会社債権者に対しては支払の責任を負わない場合を「間接責任」といいます。
(社員は、出資の限度においてのみ責任を負うことになります。)

有限責任と無限責任

また、社員の責任には「無限責任」と「有限責任」という分類があります。

無限責任とは、「会社の債務の全額について、弁済の責任を負う」ことをいい、
有限責任とは、弁済責任を「一定の金額を限度とする」場合をいいます。

では、4種類の会社について
社員の責任がどうなっているのか見て行きましょう。

合名会社

合名会社の場合、会社がその財産をもって債務を弁済できないときは
社員が、個人で会社債権者に対して弁済する義務を負います。(直接責任)

また、この責任には限度が置かれていません。(無限責任)

つまり、合名会社は社員の責任が大変重いため
少人数の、極めて信頼関係の強い人たちによる共同事業としての会社形態、
ということができます。

合資会社

合資会社は、合名会社と同様の「直接・無限」責任を負う社員と、
会社債権者に対して直接責任を負うが、その責任は「出資額を限度」とする有限責任社員の
2つの種類の社員からなる会社です。

株式会社

株式会社の社員のことを「株主」といいます。

株主(社員)は、
会社債権者に対して直接には何ら責任を負うことはなく
一定額の出資義務を負うのみです。(有限責任)

株主は既に出資義務を完了していますので、
債権者にたいしてそれ以上の責任を負うことはない、ということになります。
(合資会社の有限責任社員は、出資義務を完了していない場合は
 その限度で、直接債権者に責任を負うことになります。)

合同会社

合同会社は、会社法の施行に伴い新たに認められた会社形態であり、
アメリカにおけるLLC(Limited Liability Company)をモデルに導入されました。

有限責任社員のみで構成されますが、
株式会社と異なる点は、会社債権者に対して、出資額を限度として「直接責任」を負うことです。

会社内部においては、自治原則により、出資者自らが自由に決定することができます。

会社の種類

合名会社「直接無限責任」社員のみで構成される会社
(社員全員が、会社債権者に対して、直接、連帯して無限責任を負う)
合資会社「直接無限責任」社員「直接有限責任」社員からなる
二元的組織の会社
株式会社社員(株主)は、
各自有する株式の引受価額を限度とする出資義務を負うだけで、
会社債権者に対しては直接に責任を負わない(間接有限責任)会社
合同会社「間接有限責任」社員のみで構成され、
会社の内部関係においては
民法上の組合と同様の規律が適用されている会社

取引における、相手会社の種類の考慮

以上の通り、会社の種類によって、会社債権者に対する「社員の責任」は大きく異なります。

逆に言うと、ある会社と取引する場合に検討・調査すべき内容は
相手会社の種類によって異なるということになります。

たとえば、取引相手が「合名会社」の場合は
会社の債務に対して、社員が、直接無限責任を負うわけですから
「社員の」信用や実力がどうかが大きな意味を持ちます。

一方、取引相手が株式会社や合同会社の場合は、
社員は有限責任のみを負うわけですから
社員の信用などは問題にならず、その「会社の」財産、信用・経済力の検討が必要になります。

つまり、取引から発生する債務の最終的な引き当てが
会社財産なのか、社員個人の財産なのか、会社の種類によって異なるため、
取引相手の会社の種類について注視する必要があるということなのです。



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