会社法の条文と解説

会社法9条

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会社法9条

会社法 
第1編 総則 
 第2章 会社の商号

(自己の商号の使用を他人に許諾した会社の責任)
第9条  自己の商号を使用して事業又は営業を行うことを他人に許諾した会社は、当該会社が当該事業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。

会社法9条の条文解説

名板貸し



自己の商号を使用して事業・営業を行うことを他人に許諾した会社は、
この会社が事業を行うものと誤認して「許諾を受けた他人」と取引をした者に対し
当該他人と連帯して
この取引によって生じた債務を弁済する責任を負います

「自己の商号の使用を他人に許諾した会社」の責任

「自己の商号を使用して事業又は営業を行うことを他人に許諾」することを
名板(ないた)貸し、といいます。

自己の商号(会社名)を他者に使用させ、営業することを認めた場合、
その者の第3者との取引による債務について責任を負うことになる
ということが会社法9条で規定されているわけです。
(第3者が、その者が商号を借りているだけだと知っていた場合は別ですが)

自己の商号を貸した相手が経営破たんに陥った場合や姿をくらました場合は、
「自己の商号を使用して取引することを他人に許諾した者が」
「自己の商号を使用して取引した相手の債務を」返済しなければならない
ということになります。
(債務返済だけでなく、損害賠償や原状回復義務等の責任も負わなければなりません。)

判例

名板貸しの判例①
…「誤認」が過失による場合であっても、名義貸与者は責任を免れることはできないが
 「重大な過失」がある場合は、名義貸与者の責任は「免れる」。 (最判昭41.1.27)

名板貸しの判例②
…許諾者が責任を負うためには、
 許諾を受けた者の営業が、許諾者の営業と「同種の営業」であることが必要である。
  (最判昭43.6.13)

「取引によって生じた債務」について

名板貸人の責任は、
「誤認して」「当該他人と取引をした者」に対する、
「当該取引によって生じた債務を弁済する責任」です。

よって、名板借人が、名板貸人と同種の営業をしていたとしても
名板借人が、その営業を通じて引き起こした「不法行為」による損害賠償責任については
連帯責任を負うことはありません

(例えば、営業中に交通事故を引き起こした場合)

また、
「名板借人の不法行為」についての被害者との「示談契約」において
被害者が、この示談契約の負担者を名板貸人と誤認したとしても
「取引によって生じた債務」にはあたらず
名板貸人が責任を負うことはありません。



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