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単元株制度

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単元株制度

単元株制度とは

単元株制度」とは
「一定の株式数」を「1単元」と定めて、
1単元に満たない株式については、株主の権利を制限することができる」制度です。

株式の価値は、
それを発行する会社の業績や、発行時の法制度による制約などによって様々です。

同じ1株といっても、極めて価値の高いものもあれば、その逆もあり、
株式単位が小さい場合は
株主総会の招集通知を1株株主に送付する費用がコスト割れとなることもあります。

そこで「一定の株式数」を単位として、株主の権利を与える
という制度が認められているわけです。

例えば、100株を1単元とする場合、
100株を保有する株主は、1個の総会議決権を持ちますが、
99株を保有する株主は議決権を持てないということになります。

このように単元株制度は、株主の権利に大きな制約をもたらすものですので
制度導入の定款変更に「特別決議」を要したり
単元未満株主(例えば99株を保有する株主)に、買取請求権や売渡請求権があるなど
会社法は様々な決まりを設けています。

株主の権利を害さないための制度

単元株式の数

1単元を何株にするかは「法務省令で定める数を超えることはできない」とされています。

会社法施行規則では「1000株」および「発行済株式の総数の1/200」
を上限とする
と定められています。

また、種類株式発行会社においては、
単元株式数は、「株式の種類ごとに定めなければならない」とされています。

権利の保障

単元未満株主は、議決権を持てないなどの制約を受けますが、
以下の権利については、単元未満株式についても「権利が保障されます」。(会社法189条

 ・「全部取得条項付種類株式」の会社取得の対価の交付を受ける権利
 ・「取得条項付株式」と引換えに金銭等の交付を受ける権利
 ・「株式無償割当て」を受ける権利
 ・「単元未満株式を買い取ることを請求」する権利
 ・「残余財産の分配」を受ける権利
 ・その他、法務省令で定める権利

定款の変更

単元株制度を導入する」または「単元株式数を増加させる」ための定款の変更は
株主総会の特別決議が必要です。 (会社法309条

ただし、以下の場合は、「株主総会の決議によらないで
定款の変更をすることができます。 (会社法191条

 ・株式の分割」と同時に
  「単元株式数の増加」または「単元株式数についての定款の定めを設ける」。

 ・各株主の「定款の変更後の議決権」が「変更前の議決権」を下回らないこと。

また、「単元株式数の減少」又は「単元株式数についての定款の定めの廃止」は
株主に不利益となることがないと考えられますので
取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって、
定款を変更して行うことができます。

買取の請求

単元未満株主(保有する株式数が単元株式数に満たない株主)は、
株式会社に対し、
自己の有する単元未満株式を買い取ることを請求することができます。(会社法192条

買取価格の決定については、以下の手順で行われます。 (会社法193条

★単元未満株式が市場価格の「ある」株式である場合

当該単元未満株式の「市場価格として法務省令で定める方法により算定される額」

★単元未満株式が市場価格の「ない」株式である場合

以下の手順で価格を決定します。

 ①請求をした単元未満株主との「協議」によって定める。

 ②「請求をした単元未満株主」又は「株式会社」は、
  この請求をした日から「20日以内」に、
  裁判所に対し、価格の決定の申立てをすることができる。

  (期間内にこの申立てがあったときは、
   裁判所が定めた額をもって株式の価格とする。)

 ③期間内に協議が整わず、申立てもないときは、
 「一株当たり純資産額」×「単元未満株式の数」の額を単元未満株式の価格とする。


売渡し請求

単元未満株主の売渡請求とは
「単元未満株主が有する単元未満株式の数と併せて単元株式数となる数の株式を
 会社が株主に売り渡すことを請求すること」をいいいます。

株式会社は、単元未満株式の売渡請求をすることができる旨を
定款で定めることができます。 (会社法194条

請求を受けた株式会社は
自己株式を当該単元未満株主に売り渡さなければなりません

(請求を受けた時に単元未満株式の数に相当する自己株式を有しない場合を除きます。)

「価格の決定」については会社法193条の1項~第6項までの規定が準用されます。


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