商号の名板貸し
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商号の名板貸し
自己の商号を、他人が使用して事業または営業を行うことを許諾することを「名板貸し」といいます。
自己の商号を他社に使用許諾した者を「名板貸人」、
他企業の商号を借りて営業する者を「名板借人」といいます。
名板貸人は、
その会社がその事業を行うものと誤認して取引を行った善意の第三者に対して、
その取引から生じた債務について
名板借人と連帯して弁済する債務を負わなければなりません。(会社法9条)
名板貸しという、取引相手に誤認を与えるような行為には一定の責任あるということで
取引した者の信頼を保護する必要があるため、こうした規定が置かれているわけです。
取引した相手が「悪意」(名板貸しの事実を知っていた)であった場合は
名板貸人に責任は生じませんが
この「悪意」については、名板貸人が立証責任を負うこととなっています。
また、判例によれば、
取引の相手方の誤認が「過失」による場合は、名板貸人に責任が生じるが
取引の相手方の誤認が「重大な過失」による場合は、名板貸人に責任が生じない、
とされています。
名板貸しには十分な注意が必要
つまり、誰かから
「お金を払うから、あなたの会社の商号を取引に使わせてください」と持ちかけられたとしても
自分の商号の使用を他者に許諾することには、十分な注意が必要です。
相手が突然行方をくらましたときは
その相手の取引先に対して支払い義務が生ずるなどの不測の事態が生じることになります。
この責任の範囲は、直接生じた債務の履行義務だけではなく
債務不履行の損害賠償責任や原状回復義務、手形債務にもおよびます。
安易な名板貸しは避けることが肝要です。
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