会社法の条文と解説

株主総会の議決権

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株主総会の「議決権」

「議決権」の原則と例外

株主総会における「株主の議決権」は、
株式1株ごとに1個の議決権が与えられます。(一株一議決権の原則

この「一株一議決権の原則」の例外となるのは以下の場合です。

① 会社の有する自己株式
相互保有株式
議決権制限株式
特定の株主から、会社が株式取得する場合、それを議決する決議
単元未満株式
基準日後に発行された株式


① 会社の有する自己株式

会社が有する自己株式については、株主総会での議決権は認められません。

不当な会社支配に利用される危険性が高いからです。

相互保有株式

会社同士で株式を相互保有している場合は、議決権が認められません。(会社法308条1項)

相互保有株式とは 
「株式会社がその総株主の議決権の4分の1以上を有することその他の事由を通じて
 株式会社がその経営を実質的に支配することが可能な関係にあるとして法務省令で定めるもの」
を指します。

議決権制限株式

株式会社は、種類株式として「議決権制限株式」を発行することができますが
この株式の株主は、議決権の一部または全部がないということになります。(会社法108条1項)

特定の株主からの自己株式取得

会社が、特定の株主から株式を取得する場合、
その株主は、その自己株式の取得についての株主総会決議については
原則として、議決権を行使することができません。 (会社法140条3項、会社法160条4項)

決議の公平の確保のための規定です。

単元未満株式

定款で、単元株式数を定めている場合には、
「一単元の株式につき1個」の議決権を有することになります。(会社法308条1項)

例えば、20株を一単元とする定款の定めがある場合、
10株を保有する株主には議決権が与えられないということになります。

基準日後に発行された株式

会社が定めた「基準日」後に発行された株式については、議決権の行使が認められません。
会社法124条1項)

ただし、基準日「後」に株式を「取得した者」の全部又は一部を
この権利を行使することができる者と定めることができます。(会社法124条4項)


議決権の「代理人」による行使

株主総会の議決権は、株主が、代理人によって行使させることも可能です。(会社法301条

この場合、株主または代理人は、
代理権を証明する書面」を株式会社に提出しなければならず、
代理権の授与は、「株主総会ごと」にしなければなりません。

また、「代理人を株主に限定する」定款の定めは有効か?という問題があります。

判例では、「第三者による株主総会の撹乱の防止」として「相当な制限」であるとして
「代理人を株主に限定する」ことを認めています。

ただし、法人などが株主である場合に、上記の定款を盾に
当該法人の従業員の代理権を認めない場合は、
違法とされ、決議取り消しの対象となる場合があります。


議決権の「不統一行使」

1人の株主が、複数の株式を保有している場合、
株主総会決議において、この議決権を「統一的に行使しない」ことは可能でしょうか?

例えば、100株保有する株主が、Aという議案について、
50個の議決権を賛成、50個の議決権を反対、として行使する場合です。

会社法は、この不統一行使を原則として認めた上で、
 ・株主が、総会日の3日前までに、
  「不統一行使を行う旨」「その理由」を会社に通知しなければならず、
 ・「他人のために株式を保有している株主でない場合は、
  会社は、不統一行使を拒むことができる
としています。(会社法313条


書面投票・電子投票

書面投票

取締役(取締役会)は
株主総会に出席しない株主が「書面」によって議決権を行使することができることとする旨
定めることができます。 (会社法298条1項3号)

書面投票を認める場合の「招集通知」は「書面」で行わなければならず、
(株主の承諾を得て「電磁的方法」で行うこともできる)
その際に、
 ・議決権の行使について参考となるべき事項を記載した書類(株主総会参考書類
 ・株主が議決権を行使するための書面(議決権行使書面
を交付しなければなりません。

書面投票は、「株主総会の日の直前の営業時間の終了時までに
(取締役・取締役会が定めた時があれば、その時までに)
議決権行使書面を会社に「提出」して行います。 (会社法311条1項)

書面投票を認めるか否かについては会社の自由ですが
株主の数が「1000人以上」の会社は、
必ず「書面投票」を認めなければなりません。(会社298条2項)


電子投票

取締役(取締役会)は
株主総会に出席しない株主が
「電磁的方法」によって議決権を行使することができることとする旨
定めることができます。 (会社法298条1項4号)

電子投票を認める場合の「招集通知」は「書面」で行わなければならず、
(株主の承諾を得て「電磁的方法」で行うこともできる)
その際に、
 ・議決権の行使について参考となるべき事項を記載した書類(株主総会参考書類
 ・株主が議決権を行使するための書面(議決権行使書面
を交付しなければなりません。

株主総会の招集について「電磁的記録での通知を承諾した株主」に対しては、
株式会社は、正当な理由がなければ、
「電子投票」を拒んではなりません。(会社法312条2項)

電子投票は、「株主総会の日の直前の営業時間の終了時までに
(取締役・取締役会が定めた時があれば、その時)
議決権行使書面に記載すべき事項を、電磁的方法により会社に提供して行います。 
会社法312条1項)





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 ★株主総会
  ・株主総会の招集
  ・株主総会の運営
  ・株主総会の議決権
  ・株主総会の決議
  ・株主の株式買取請求権
  ・総会決議の瑕疵



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