株主総会の運営
株主総会の運営
株主総会は、株式会社における最高機関であり
会社所有者である株主による意思決定機関です。
会社法は、株主総会において「株主の意思」がきちんと反映され、公正が確保されるよう
「株主の提案権」「総会検査役」などの制度を規定しています。
株主の議案権
株主総会の議題は、通常は、取締役または取締役会が決定するのですが
株主も、「議題を提案」し、「議案を提出」する権利を持ちます。
(会社法303条、会社法304条、会社法305条)
「議案」提出は、株主の単独の権利ですが
取締役会設置会社における「議題」提案、「議案要領の通知請求権」は、
一定数の議決権・株式数を有する株主に認められる「少数株主権」です。
- | 内容 | 権利者 |
---|---|---|
議題提案 | 株主総会で一定の事項を議題とすることの請求 | ●「取締役会」設置会社の場合 ⇒ 総株主の議決権の「100分の1」以上又は「300個」以上の議決権を有する株主 (公開会社では、さらに、6か月前 から引き続き有する株主) ●取締役会「非」設置会社で、 非公開会社 ⇒ 株主 |
議案要領の 通知請求 | 株主が「議案提出」権により提出しようとする議案の要領を、他の株主に通知することの請求 | |
議案提出 | 株主総会において、株主総会の議題につき「議案」を提出する | 株主 |
*「議題提出」権、「議案要領通知請求」権は、
株主総会の「8週間前」までに行使する必要がある。*「議題」とは、例えば「取締役選任の件」
「議案」とは、例えば「Aを取締役として選任する件」
濫用防止策
上記の通り、株主には「議題提案」などの権利が認められているわけですが
これが濫用されると、株主総会の運営に支障が生じて
かえって株主の権利・利益が害されるおそれがあります。
取締役会設置会社において、「議題」提案、「議案要領」の通知請求が
「議決権の1%以上」または「300個以上の議決権」を有する株主に限定されているのは
濫用を防止するための規定です。
また、「議案」提出、「議案要領」の通知請求においては
その議案が
・法令や定款に違反する場合
・実質的に同一の議案が、株主総会で、
総株主の議決権の「10分の1以上の賛成」を得られなかった日から
「3年を経過していない」場合
は、認められません。 (会社法304条但書、会社法305条4項)
総会検査役
総会検査役とは、
経営権の争いなどによって株主総会が混乱することが予想される場合などで
株主総会の「招集手続き」「議決方法」の公正を調査し、
株主総会決議の成否を判断するための証拠を保全する目的で認められた制度です。
裁判所に対し、「検査役」選任の申立てをすることができるのは
① 株式会社
②「1/100以上の議決権」を有する株主
( 公開会社の場合は、「1/100以上の議決権」を「6か月前から」保有する株主 )
です。 (会社法306条)
裁判所は、この申し立てがあった場合には、検査役を選任しなければならず、
検査役の調査報告から判断して必要と認めるときは、
取締役に対して、
●一定の期間内に、株主総会を招集すること
●検査役の「調査の結果」を株主に通知すること
を、命じなければなりません。 (会社法307条)
取締役等の説明義務
取締役、会計参与、監査役、執行役は、
株主総会において、
株主から特定の事項について説明を求められた場合には、
必要な説明をしなければなりません。 (会社法314条1項)
ただし、
・株主総会の目的事項に「関しないもの」である場合、
・その説明をすることにより「株主の共同の利益を著しく害する」場合、
・その他「正当な理由がある場合」として法務省令で定める場合は、
説明義務はありません。
これらの説明拒否理由がないにもかかわらず、
取締役等が「必要な説明をしない」「説明が不十分」であるときは
株主総会決議の取り消し事由となり(会社法831条1項1号)、
100万円以下の過料の制裁規定もあります。(会社法976条)
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