会社法の条文と解説

株式買取請求権

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株主の株式買取請求権

例えば、会社合併の場合、
株主総会の「特別決議」によって合併契約の承認を受けなければならないわけですが
やはり、多数決の論理によって事が運ばれることは同様であり、
これに「反対した株主」や
簡易手続きなどで株主総会が不要となり「意思表示の機会がなかった株主」にとっては
その意思や利益が看過されるという問題が発生します。

これを修正するために規定されているのが「株主の株式買取請求権」です。


反対株主の株式買取請求権

以下に示す会社の基礎的な変更の場合に、多数決で決議が成立したときは
反対株主」には、
その株主が有する株式を「公正な価格」で買取ることを会社に請求する権利が認められます。

《買取請求が認められる場合》

●「事業の全部または重要な一部の譲渡」についての決議
  (会社法469条会社法470条
●「全部の株式について、株式譲渡制限を定める定款変更」の決議
  (会社法116条1項1号)
●「ある種類の株式について、譲渡制限株式または全部取得条項付種類株式
  に変更する定款変更」の決議 (会社法116条1項2号)
●「合併」「新設分割」「吸収分割」「株式交換」「株式移転」の決議
  (会社法785条、786条、会社法797条、798条、会社法806条、807条)
●以下の行為で、特定の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるとき 
  (会社法116条1項3号)
  ・株式の併合
  ・株式の分割
  ・株式無償割り当て
  ・単元株式数の定款変更
  ・株式を引き受ける者の募集
  ・新株予約権を引き受ける者の募集
  ・新株予約権無償割当て


反対株主とは

「反対株主」とは
以下の場合における以下に定める株主をいいます。

 ① 株主総会(種類株主総会)の決議を要する場合 
   ⇒Ⅰ、Ⅱの株主

   Ⅰ 株主総会に先立って会社に対し反対する旨を「通知」し、
     かつ、「株主総会において反対した」株主
  
   Ⅱ 当該株主総会において議決権を行使することができない株主

 ② 株主総会決議を要しない場合(簡易手続・略式手続など) 
   ⇒すべての株主

会社の通知・公告

株主に買取請求権行使の機会を確保するため、会社は、
該当行為の効力が発生する「20日前」まで
株主に対して、この行為を行う旨などを「通知」しなければなりません。

ただし、
・「公開会社」である場合
・当該行為が「株主総会の決議」によって承認されたものである場合
は、「公告」によって行うことができます。

買取請求

「反対株主の株式買取請求」は、
当該行為の効力発生日の「20日前の日」から効力発生日の「前日」までの間に、
その株式買取請求に係る「株式の数」(「株式の種類」「種類ごとの数」)
を明らかにして行います。


買取価格

買取価格は「公正な価格」です。 

「公正な価格」には、当該行為によるシナジー(相乗効果)が含まれるもの
と解されています。
すなわち、合併等による効果で株価が値上がりした場合は、
その時価が「公正な価格」と考えられるということです。

「買取価格」について、株主と会社の間で協議が調ったときは、
会社は、当該行為の効力発生日から「60日以内」にその支払をしなければなりません。

効力発生日から「30日」以内に「協議が調わない」ときは、
株主または会社は、その期間の満了の日後30日以内に、
裁判所に対し、「価格の決定の申立て」をすることができます。


買取請求の「撤回」

株主がいったん買取請求権を行使した場合は、
会社の承認がない限り、株主の側から撤回することはできません

ただし、買取価格についての協議が整わないにもかかわらず
会社も、株主も、効力発生時から60日以内に
裁判所に対して「価格決定の申立て」をしない場合は、
株主は、いつでも、撤回することができます





 ~関連ページ

 ★株式会社の機関
 ★株主総会
  ・株主総会の招集
  ・株主総会の運営
  ・株主総会の議決権
  ・株主総会の決議
  ・株主の株式買取請求権
  ・総会決議の瑕疵



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