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自己株式の取得

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自己株式の取得

自己株式の取得の自由化

自己株式の取得」とは、
株式会社が発行した株式を、その株式会社が株主から買い取ることをいいます。

以前は、自己株式の取得は原則禁止とされていました。

それは、
 ・出資の払い戻しと同じであり、資本の維持を害する。
 ・取得価格によっては、株主平等の原則に反することになる。
 ・会社支配に利用される。
 ・株価操作、インサイダー取引に利用される。
などの弊害があるとされていたからです。

しかし、経済界からの強い要望等などにより、
2001年の商法改正時に「原則自由化」されました。

自己株式の取得を認めるメリットとしては
 ・大株主が株式を放出する際、自己株式を取得することで敵対的買収を防止できる。
 ・自己株式の取得をすることで、株式数を減らし、株価を引き上げることができる。
 ・合併や会社分割に際して、自己株式を割り当てれば、負担増加を抑えることができる。
などが挙げあられます。

弊害の抑制については、別途、規制を置くことで自由化がすすめられたわけです。

自己株式の取得ができる場合

会社法155条では
自己株式の取得は、以下の場合に限りすることができる、と定められています。

取得条項付株式の取得
譲渡制限株式の取得
株主総会決議等による取得
取得請求権付株式の取得
全部取得条項付種類株式の取得
株式相続人等への売渡請求に基づく取得
単位未満株式の買取
所在不明株主の株式の買取
端数処理手続による買取
他の会社の事業の全部を譲り受ける場合
合併消滅する会社からの株式の継承
吸収分割をする会社からの株式の継承
⑬ 法務省令で定める場合

会社法では、これらを取得する手続などが法定されています。
 ・「取得請求権付株式」の取得 ⇒会社法166条会社法167条
 ・「取得条項付株式」の取得 ⇒会社法168条会社法170条
 ・「全部取得条項付種類株式」の取得 ⇒会社法171条会社法173条
 ・「相続人等に対する売渡しの請求」 ⇒会社法174条会社法177条
などです。

株主との合意による取得

③の「株主総会決議等による取得」とは、
「あらかじめ株主総会で必要事項を定めれば、
 会社は、株主との合意によって自己株式を有償取得することができる」
というものです。

これには、
 ・株主全員に通知して、勧誘する方法 (会社法158条
 ・「特定の株主」から取得する方法 (会社法160条
 ・市場での買い付けの方法 (会社法165条
があります。

株主からの勧誘方法

「株主全員に通知して、勧誘する方法」は
以下の手順が必要となります。(会社法156条会社法159条) 

自己株式の取得1

あらかじめ、株主総会の決議で、以下の事項を決定します。
 ・取得する「株式の数」(株式の種類、種類ごとの数)
 ・引換えに交付する「金銭等の内容」、その「総額」
 ・取得することができる期間(1年以下の期間)

そのつど、「株主総会の決議」で以下を定めます
 (取締役会設置会社は「取締役会決議」)
・取得する「株式の数」(株式の種類、数)
・一株につき交付する「金銭等の内容、数、額など」
・交付する金銭等の総額
・申込みの期日

③決定した「取得株式数」「額」「総額」「申込期間」を
 株主に「通知」しなければなりません。
公開会社の場合は、「公告」も可)

④この通知を受けた株主は、
譲渡する株式の数(株式の種類、数)を明らかにして
申し込むことができます。

(この申込がなされた場合、「申込期日」において
 譲受が承諾されたものとみなされます。)

「特定の株主」からの取得方法

全株主からの勧誘ではなく、「特定の株主」から取得する場合は、
その内容を、株主総会で決議しなければなりませんが、

「特定の株主に、自己をも加ること」を株主総会の議案とすることを請求できる旨
株主に通知しなければなりません。
株主の議案変更請求権

ただし、取得する株式が「市場価格のある株式」であり、
交付する金銭等の額が、市場価格を超えないときは、
上記請求権の規定は適用されません。(会社法161条

市場を通じた取得

会社法157条~160条までの規定は、 
自己株式の取得を、市場を通じて行う場合には適用されません。 (会社法165条

取締役会設置会社は、
市場取引等により自己株式を取得することを「取締役会の決議」事項とすることを
定款で定めることができます。


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