会社法の条文と解説

設立無効の訴え

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設立無効の訴え

設立手続に瑕疵がある場合

会社は、設立登記を行うことで成立するわけですが
もしその会社の設立手続に法定要件を欠くものがあった場合に
その会社の設立はどのようになるのでしょうか?

例えば、
定款に必ず記載しなければならないと規定されている事項(会社法27条)が記載されていない、
または、検査役の調査を必要とする変態設立事項の調査がなかった、
定款についての公証人の認証がなかった、
創立総会の招集がなかった、
などの場合、その会社はどう扱われるのでしょう?

原則論からすれば、無効とされるべきもの、ということになります。

そして、そうであるなら、
誰でもが会社設立は無効であることを主張することができるはずですし、
その主張をする期限についての制限もない、と考えるのが普通でしょう。

けれども一旦有効なものとして成立し、
その後経済活動を行ってきた会社が設立時の手続の瑕疵によって、
はじめから存在しないものと扱われた場合、
これまで取引してきた相手に不測の損害をあたえることは必至と言えます。

また、契約などの法律関係が、その会社の設立手続の欠陥を理由に
すべて覆されることとなれば大きな混乱が生じます。

では、会社法は、この問題にどのような規定を置いているのでしょう。

設立無効の訴えの制度

会社法828条において、
会社の設立手続に欠陥があるときは、
会社成立の日から2年以内に限り」(1項1号)
株主、取締役、監査役、清算人に限り」(2項1号)
訴えをなすことができると限定し、
「訴えの被告は会社とすること」(会社法834条1号)
無効とされた場合は、会社の成立日からではなく「将来向かって」効力を失う会社法839条
としています。

つまり、期間を2年に限定して、主張できる者を株主・取締役等に限定し、
無効が確定した場合も、それ以前の契約等は有効であり
将来に向かってのみ無効、ということとしているわけです。

設立無効の判決が確定した場合には
第三者に対してもその効力を有し(対世効)、
その旨の登記がなされ(会社法907条)、会社は清算しなければなりません。

訴え濫用の防止

また、濫訴防止の観点から
裁判所は、被告である会社の申立てにより、
原告株主に対して、相当の担保の提供を命じることができます。(会社法836条
(ただし、会社側が、
 原告の訴えの提起が悪意によるものであることを疎明しなければなりません。)

そして、原告が敗訴した場合、
原告に「悪意」または「重大な過失」があったときは
原告は、被告に対し、連帯して損害を賠償する責任を負うことになります。 (会社法846条




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