会社法の条文と解説

変態設立事項

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変態設立事項

会社を設立する場合、
発起人はまず定款を作らなければなりません。

定款は、設立する会社のいわば憲法であり、
会社を運営して行く上での基本ルールを定めたものです。

ただし、会社法では、定款を定めるにあたっての守るべき決まりごとを
様々なレベルで規定しています。

変態設立事項とは、
会社設立時に、もしその事項を決定したならば、必ず記載しなければならない
以下の4つの事項です。(会社法28条

現物出資
財産引受
発起人の報酬
設立費用

発起人は、設立時株式を1株以上引き受けなければならず、
金銭で払い込みをするのが原則ですが
発起人が所有し、設立後の会社が事業用に使う「土地」や「建物」「パソコン」や「車」などを
現物で出資することができます。

例えば、土地を現物出資する場合、その価額を定款に記載するわけですが
その額が、実際の価値からかけ離れた高い額を記載した場合、

会社財産は、その分毀損されるわけですし、
現物出資した発起人は不当に多い株式を取得することになり
他の発起人や募集株式引受人との間で不公平なことになります。

このように、発起人の恣意的な操作によって
会社財産基盤が危うくなったり、特定の者が会社設立で利益を得ることなどを防止し、
株主や会社債権者の利益を保護する必要性から
特に4つの事項は、厳格な管理下に置かれるわけです。

検査役の調査

ですから、変態設立事項については
これがある場合は必ず定款に記載するだけではなく、
裁判所が選任する「検査役」の調査を受けなければなりません。

この調査により、裁判所が不当であると判断したときは、
裁判所は、定款の変更の決定をし根ければなりません。(会社法33条7項)

この調査が不要となるのは以下の場合です。(現物出資、財産引受に限られます)

①定款に記載された価額の総額が「500万円を超えない」場合
②市場価格のある有価証券について、定款に記載された額が「市場価格を超えない」場合
③価額が相当であることについて弁護士、公認会計士、監査法人等の証明を受けた場合

設立時取締役等は、①②③について相当であるかどうか調査しなければならず、
不当と判断される場合は、発起人にその旨を通知しなければなりせん。(会社法46条

また、③の証明を行った弁護士等は、発起人と同様の責任を負います。

そして、変態設立事項創立総会で定款変更された場合
これに反対した株式引受人は、その決議後2週間以内に限り、
その設立時発行株式の引受けに係る意思表示を取り消すことができます。(会社法97条



会社法28条 (相対的記載事項
会社法33条 (検査役の選任)
会社法46条 (設立時取締役等の調査)
会社法97条 (引受の辞退)

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