会社法の条文と解説

会社の権利能力

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会社の権利能力とその制限

会社は、法人格を持ち、
法律上の権利能力を有します。 (⇒「会社とは」のページ参照)

ただし、会社の権利能力については、自然人のそれと異なり、一定の制限があります。

性質による制限

会社は、自然人ではないため、
自然人のように年齢、身体、親族関係などを前提とする権利や義務を有することはできません。

親権などの権利、扶養などの義務の主体となることはないのです。

法令による制限

会社の法人格は、法令により与えられたものです。

逆に言えば、会社の権利能力は法令により制限される、ということになります。

目的による制限

会社のような法人は、一定の目的のもとにおいて存在する団体です。

定められた目的を遂行するという社会的作用に着目して
法はこれに法人格を認めているわけです。

したがって、その法人が定めている目的と関係ない法律関係に法人が関与することは
認めるべきではないと言えます。

つまり、会社の権利能力
定款に定めた事業目的の範囲内に制限されると解されるのです。

ただし、この「事業目的の範囲内」とは
定款に記載された目的そのものだけということではなく
その目的を達成するために必要な行為、有益な行為をすべて含む、と解されます。

会社の権利能力と政治献金

会社は定款所定の目的達成するために「必要な行為」はもちろん、
目的達成のために「有益な行為」も行うことができると解されています。

ですから、例えば、会社の地元の社寺の祭礼への寄付も「目的の範囲内」とされます。

では、会社が、政党に政治献金をすることはどうでしょうか?

これに関しては、「八幡製鉄政治献金事件」における有名な判例があります。

この事件は、政党への政治献金をした会社の代表取締役を被告とし、株主が原告となり
「政党への寄付は、同社の定款に定められた目的の範囲外の行為であり、
 同社は寄付を行う権利能力はない」として、損害賠償請求を提起したものです。

これに対し最高裁は以下のように判じました。

「会社が、納税の義務を有し自然人たる国民とひとしく国税等の負担に任ずるものである以上
納税者たる立場において、国や地方公共団体の施策に対し、意見の表明その他の行為に出たとしても、これを禁ずべき理由はない。」

つまり、「会社による政治資金の寄付は、・・・会社の社会的役割を果たすためになされたものと認められるかぎり、会社の権利能力の範囲に属する行為である」ということです。

このように、定款の目的は相当程度柔軟に解釈されるものです。

ただし、会社が政治献金をする能力を有するといっても
その額は、社会的な事情や、会社の規模、経営状態などの事情を勘案し
「相当な程度」でなければなりません。

この「相当な程度」を超える額の献金がなされた場合は
取締役の忠実義務違反という問題が起り得るのです。



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