会社法の条文と解説

会社の商号

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会社の商号

商号とは

会社の名称を、会社法では「商号」といいます。

商号は、個人でいうところの姓名にあたり、
会社が事業において自己を表示するために表示する名称です。

商号は自由に決めることができます(会社法6条1項)が
一定のルールが決られています。

同一の住所で同一の商号はNG

まったく同じ住所で全く同じ商号では、会社の区別がつきませんので商号登記ができません。

逆に言うと、同じ県内や同じ市内、同じ町内であっても
番地が違えば、同じ商号の登記は可能ということです。

(旧商法では、同じ市町村内での同一商号は登記できませんでしたが
 会社法の成立により、全く同じ住所でなければOKとなりました。)

「株式会社」の文字を入れる

株式会社の場合は、商号の前か後ろに必ず「株式会社」の文字を入れなければなりません。
(合同会社、合資会社なども同様に、「合同会社」「合資会社」の文字を入れる。)

株式会社の文字にかえて、「K.K.」や「Co.,Ltd.」などの英文字表記はできません。

株式会社であるのに「合同会社」の文字を入れること
合同会社であるのに「株式会社」の文字を入れること
は、禁じられています。

また、個人企業のように会社でないものは
その商号の中に会社であると誤認するような文字を使用してはなりません。
(違反した者には、100万円以下の過料が科されます。)(会社法978条

支店、部署などの文字を入れることはできない

商号に、〇〇支店など、会社の一部門を指す文字を入れることはできません。

公序良俗に反する文字の使用はNG

道徳に反する言葉を商号に使用することはできません。
例えば、詐欺請負株式会社などといった商号は認められないということです。

銀行、信託、保険の文字使用

銀行や信託銀行、保険会社などの一定業種は、
その業種を表す文字を商号に使用しなければなりません。

逆に、それらの業種でない会社が「銀行」「信託」「保険」などの文字を使用することはできません。

使用可能な文字、使用できない文字

使用できる文字は
漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字(大文字、小文字)です。

また、・(中点)、-(ハイフン)、'(アポストロフィー)、,(コンマ)
などの一部の符号は使用できます。

使用できない文字は
上記以外の符合、?、!、@や、Ⅰ、Ⅱなどのローマ数字などです。

不正競争防止法

他人の著名な商号と、同一もしくは類似の商号を利用することを「著名表示冒涜」といい、
不正競争防止法で禁じられています。

また、著名とまで言えなくとも、その地方において住民、需要者に広く認識されている商号も
それを使用することで他人の商品や営業と混同が生じる場合は「混同惹起行為」として
商号使用が禁じられます。

これは「悪気」があったかどうかにかかわりなく
差止や損害賠償請求を受けることがありますので注意が必要です。
(利益が侵害されるおそれのある者は、使用差止請求、損害賠償請求が認められます。)

他社の「商標」の商号使用

「商号」は会社の名称のことですが
「商標」は、「商品、サービスを他社商品と区別するために、その商品等に使用するマーク」のことで
文字、記号、図形などで表示され
商標登録によって、商標権として独占的に使用することができることになります。

つまり、すでに他社が商標登録している商標と
同一、類似の文字等を「商号」として使うと
他社の商標権の侵害ということになり、損害賠償請求や差止請求を受けることがあります。

商号の登録

会社の名称である商号は、事業上の信用を維持するために法定に保護する必要があるため
「商号登録制度」が設けられています。

会社は、会社登記簿に必ず登記をしなければなりません。(絶対的登記事項)
 (⇒商業登記

会社ではない個人企業は、登記するかしないかは自由(相対的登記事項)ですが
会社は必ず商号を登記しなければならない、ということです。



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