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株主の権利

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株主の権利

株主とは

株式とは、株式会社における「社員の地位」であり、
株主とは、株式の持ち主、出資者=社員ということになります。

会社法上、株主に特別な資格や制限はなく、
株主は1人でもOKです。(1人会社)

そして、一口に株主といっても、1株保有の株主から10株、100株保有の株主等々
様々な株主が存在するわけです。

では、株主の権利について見て行きましょう。

自益権と共益権

株主は、会社に対して様々な権利を持ちますが
大きく分けると「自益権」と「共益権」ということになります。

自益権

自益権とは、
株主自身の利益のために認められた権利をいいます。

「剰余金配当請求権」 (会社法105条1項1号、会社法453条
「残余財産分配請求権」(会社法105条1項2号、会社法504条
がその中心です。

共益権

共益権とは
株主が会社の経営に参加することを目的とした権利であり、
株主はこれを会社の利益のために行使すべきものと考えられています。

共益権には
株主総会の議決権会社法105条1項3号)を中心に
・決議の取消しを訴える権利(会社法831条
・議案権(会社法303条)、
・総会招集権(会社法297条)、
・代表訴訟提起権(会社法847条)、
・役員等の解任請求権(会社法854条
など、様々なものがあります。

単独株主権と少数株主権

また、株主の権利には
1人で行使することができる「単独株主権」
一定数・一定割合以上を有する株主が行使することができる「少数株主権」
があります。

単独株主権

保有持株数に関係なく、株主であるなら1人で行使することができる権利を
単独株主権といいます。

自益権は、すべて単独株主権です。

共益権についても、以下などは単独株主権です。

株主総会の議決権 (会社法308条
②取締役会「非」設置会社での株主総会「議題」提案権 (会社法303条
③取締役会「非」設置会社での「議案要領通知請求」権 (会社法305条
④株主総会の「議案」提出権 (会社法304条
⑤取締役の違法行為差止請求権 (会社法360条
⑥責任追及等の訴えの提起権 (会社法847条

なお、⑤⑥については、
公開会社では「6か月前から引き続き株式を保有する」株主であることが必要です。
(定款で、6か月以下に短縮できます)

少数株主権

少数株主権とは、
「総株主の議決権の一定割合」または「発行済株式総数の一定数」以上を
有する株主だけが行使できる権利をいいます。

以下がその例です。
公開会社の場合は、6か月前から引き続き保有することが要件となります)

・株主総会招集請求権 …総株主の議決権の3/100以上 
・株主総会「議題」提案権 …総株主の議決権の1/100以上または300個以上
・株主総会「議案要領通知」請求権 …総株主の議決権の1/100以上または300個以上
・役員解任請求権 …総株主の議決権の3/100以上または発行済株式の3/100以上

株主の義務

株主の義務についても見ておきましょう。

株主は、株式の引受額を限度として出資義務を負うだけです。
(それ以外の義務を負うことはありません)

この義務についても、株主となるための履行義務であるので
株主になった後では、何の義務も負わない、ということになります。(会社法104条

なお、株式の払込みについては「現金」によることが原則で、
代物弁済は認められず、
会社に対する債権と、株式払込を相殺することも認められません。 (会社法208条

株主平等の原則

株主は、「それぞれが有する株式数に応じて、平等に取り扱われる」のが原則です。

これを株主平等の原則といいます。

つまり、保有する株式数が同じであれば、株主としての権利も同じであること、
逆に言うと、10株保有する株主は、1株保有する株主の10倍の権利を持つということです。
(10株保有する株主は、1株保有する株主の10倍の「配当」をもらえます。)

株主一人一人の頭数の平等ではなく、
「株式数に応じた平等」ということになります。

この原則によって、会社と株主、株主相互の法律関係は合理的に処理され
安心して株式投資ができるということになります。

もし、株主平等の原則に反する定款を定めたとしても、それは無効となります。

株主平等の原則の「例外」規定

ただし、会社法では、この株主平等の原則の例外も定めています。

種類株式の発行(権利内容の異なる株式)

優先株、劣後株、議決権制限株式、取得請求権付株式、取得条項付株式
役員選任権付種類株式、種類株式総会による拒否権付種類株式 など

株主ごとに異なる配当等を行う定款

非公開会社においては、
剰余金の配当、残余財産の分配などの権利につき、
株主ごとに異なる取り扱いを行う旨を定款で定めることができます。(会社法109条
(保有株式数にかかわらず、1人1議決権、全員同額配当、なども可能です。) 


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