会社法の条文と解説

新株予約権とは

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新株予約権

新株予約権とは

新株予約権とは、
権利者が行使することで「会社の株式の交付を受けることができる」権利のことをいいます。

新株予約権の権利者は、「権利を行使する」という意思表示を行えば、
その会社の株式を取得できる、ということです。

会社が新株予約権を発行する主な目的を以下に例示します。

ストック・オプション

会社の業績向上意欲を高めるために、新株予約権を、役員や従業員に付与するケースです。

企業業績が上がり、株価が上昇すれば、
権利者は、時価と関係なく「はじめの約束通りの対価で株を買えます」ので
株価上昇分の利益を得ることができます。

ストック・オプションの付与が
企業業績向上のインセンティブを与えることになるわけです。

敵対的買収への防衛策

会社が第三者に買収されそうなときに新株予約権を発行するケースです。
(買収者の持株比率の低下を目的に発行されます。)

例えば、「一定事由が生じたときに会社が取得する」取得条項付新株予約権を発行し、
取得対価を「会社の株式」としておけば、
敵対的買収が発生したときに、買収者の持株比率を低下させる手段となります。

新株予約権付社債

新株予約権と社債を、同時に同一人に割り当てて発行すれば(新株予約権付社債)
株価が上昇すれば新株予約権を行使し、
株価低迷時には社債を保持する、
という選択が可能となり、投資家にとって魅力的な金融商品となり、
会社にとっては出資者募集が容易になります。

新株予約権の発行手続

新株予約権の内容

新株予約権を発行するにあたって、あらかじめ決めておかなければならない事項を
新株予約権の内容」といい、会社法236条で規定されています。

目的である株式の数(算定方法)、権利行使に際して出資される財産の価額(算定方法)
権利行使の期間、などです。

また、合併など組織再編の場合に「交付される新株予約権」について定めることができます。

会社が合併で消滅する場合には、
合併存続(設立)会社の新株予約権を交付しますよ、ということを
あらかじめ定めておくわけです。

募集事項の決定

実際に新株予約権を発行する際には、その都度、
募集する新株予約権の内容、数、などの「募集事項」を決定します。 (会社法238条1項)

公開会社では取締役会で決定し、
 (新株予約権の無償での交付や、特に有利な金額であるときは、株主総会の特別決議
非公開会社では、株主総会・特別決議で定めます。
 (特別決議によって、「募集事項の決定」を「取締役に委任」することができます。)

割当て

募集事項が決定されると
引き受けをしようとする者への通知、引き受け申込の書面の会社への交付などを経て
申込をした者に対して、「割当てを受ける者」「その者に割り当てる数」を決定します。
会社法243条
募集株式の発行と同様、「割当て自由の原則」の下に置かれ、
 誰に割り当てるか、いくつ割り当てるかは会社に決定権があります。)

会社法、募集株式の割当て

また、新株予約権の「割当て」には
「株主割当て」「第三者割当て」
「公募」
の3つの方法があり、

株主に、保有する株数に応じて新株予約権の割当てを受ける権利を与える「株主割当て」を行うこともできます。 (会社法241条
(その決定は、「公開会社では取締役会」
 「非公開会社では株主総会・特別決議」が原則です。)

新株予約権者となる日

新株予約権の「割当てを受けた者」は、
「割当日に」、新株予約権者となり、その権利を行使することが可能となります。

ただし、新株予約権が「有償で」発行された場合は、
払込日に、全額を払い込まなければ失権となります。 (会社法246条

(「金銭以外の財産での給付」、「会社に対する債券での相殺」も可能です。)

新株予約権の譲渡

新株予約権は、譲渡自由が原則です。

ただし、会社が、会社にとって不都合な者が株主となる危険を避けたいなどの場合、
新株予約権を「譲渡制限」付とすることができます。 (会社法236条1項6号)

この場合、「譲渡しようとする者」または「取得した者」は
会社に対して、譲渡を承認するか否かを決定することを請求し、(会社法262条会社法263条
承認を受けた上で、取得者の氏名・住所を「新株予約権原簿」に記載しなければ
権利の移転を会社に対抗することができません。

譲渡制限が「ない」新株予約権の譲渡は、
当事者間の意思表示によって効力が生じ、
「新株予約権原簿」への名義書換えが、会社・第三者への対抗要件となります。
(新株予約権「証券」が発行されている場合は、証券の交付が必要です。)

新株予約権者の行使

新株予約権者は、
新株予約権を「行使した日」に、目的である株式の「株主」となります。

新株予約権の行使は、予約の完結権の行使であって、義務ではありませんので
行使するかしないかは権利者の自由です。

行使する場合、
 ・「新株予約権の内容」「数」
 ・新株予約権を「行使する日」
を明らかにして行わなければなりません。 (会社法280条

(「証券発行」新株予約権の場合は、その証券を会社に提出する必要があります。)

新株予約権の行使にあたり、金銭を出資する場合は
出資価額の全額を、払込取扱場所において払い込まなければなりません。





《関連ページ》

 ★資金調達 
 ★募集株式の発行 
 ・違法・不公正な株式発行
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