取締役の責任
取締役の責任
取締役の義務
取締役と会社の関係は、民法の「委任」の規定が適用されます。
よって、取締役は、受任者として
その職務を行うに当たり善管注意義務(善良な管理者の注意義務)を負います。
さらに会社法355条は
「取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、
株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない。」
と規定しています。
これを、取締役の「忠実義務」といいます。
つまり、取締役は忠実義務に従ってその職務を行わなければならず、
これに反して「会社に損害」を与えた場合は、
任務を怠ったものとして、会社に対して損害賠償責任を負うことになります。
競業取引、利益相反取引
会社法は、取締役が以下の3種類の取引を行うときは
事前に、取締役会(取締役会を設置していない会社は、株主総会)において
「重要な事実を開示」し、「承認」を受けなければならない、としています。
(会社法356条1項1号、会社法365条1項)
《事前承認を要する取締役の取引》
① 競業取引
…自己または第三者のために行う、会社の事業の部類に属する取引
② 直接的な利益相反取引
…自己または第三者のために、会社との間で行う取引
③ 間接的な利益相反取引
…会社が取締役の債務を保証するなどの
会社と取締役の利益が相反する、第三者と会社との取引
① 競業取引
競業取引とは、
取締役が、「会社が行っている事業と同様の事業」を他の会社で行う、
などのような場合を指します。
会社のノウハウや顧客情報を使われれば、会社の事業・利益に損害が生じる恐れがあります。
② 直接的な利益相反取引
「取締役が、会社からお金を借りる」
「取締役が、他の会社の代理人として、会社と取引を行う」
などの場合、
取締役が、「自己の利益」や「他の会社の利益」を優先することで
会社が損害を被るおそれがあります。
③ 間接的な利益相反取引
「会社が、取締役の債務を保証する」
などの場合、
この取引自体は、会社と第三者の取引ですが
取り締まりの利益のために会社が損害を被る可能性があります。
競業取引、利益相反取引における取締役の責任
①②③の「競業取引」「利益相反取引」を取締役が行う場合、
株主総会において、(取締役会設置会社では、取締役会において)
重要な事実を開示し、その承認を受けなければなりません。
また、取引後においては、遅滞なく、
取引についての重要な事実を「取締役会に報告」しなければなりません。(会社法365条2項)
~関連ページ~
《会社法/条文》
《会社法の用語》
・大会社
・公開会社