会社法の条文と解説

取締役の選任1

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取締役の選任・終任


取締役の「任期」

《取締役の任期》

取締役の任期
取締役
の任期
原則選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで。
(「定款」又は「株主総会の決議」により短縮できる。)
非公開会社「選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」伸長できる
委員会
設置会社
選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで。


取締役の「選任」

取締役の「選任」および「解任」は、株主総会の普通決議によりますが
一般の普通決議との違いがあります。 (会社法341条

議決権を行使できる株主の「議決権の過半数を有する株主が出席」し、
 (3分の1以上の割合に限り、定款で定めることができます。)
出席した当該株主の「議決権の過半数」をもって行なう。
 (過半数を上回る割合に限り、を定款で定めることができます。)

つまり、定足数は「3分の1以上」、議決要件は「過半数以上」の範囲でのみ
定款で定めることが可能ということであり、
例えば、取締役の選任決議の定足数を「4分の1以上とする」と定款で定めたとしても
それは無効ということになります。

議決要件については、「過半数以上」ですから、「3分の2以上」に加重することはOKですが
「3分の1以上」に軽減することはできません。


累積投票

通常の取締役の選任決議では、1人1人の取締役候補について賛否の議決をする形となりますが
これですと、株主の多数派から押される者が常に選ばれ、
政治でいうところの「1党による全議席独占」となる可能性が高くなります。

株主には様々な考えの人いるわけですし、
少数派の意見を尊重することも会社の発展にとって必要、と考えることもできます。

そこで、少数派の株主にも、その保有議決権に応じて取締役を選出する可能性を
制度的に保証しようという考え方から導かれた制度が「累積投票」という方法です。

株主総会で2人以上の取締役を選任する場合、

その取締役全員の選任を一括し、
各株主には1株(「単元株」制度採用会社の場合は1単元)につき
選任される取締役の数と同数の議決権を与える。
(4人を選任する場合は、1株につき4票が与えられる。)

各株主は、その議決権の全部を1人に投票しても、分散して投票しても良い。

当選は、投票結果で多数を得た者から順次決定する。

2人以上の取締役を選任する場合に
株主(1株保有でもよい)から、総会の5日前までに
「書面」(電磁的方法)により「請求があった場合」は、累積投票の方法がとられます。
(請求がない場合は、通常の投票方法となる。)

ただし、定款で「累積投票を採用しない」と定めれば
この投票法を完全に排除することができます。 (会社法342条


「種類株主総会」による取締役の選任

取締役の選任について内容の異なる種類の株式の発行をする場合、(会社法108条1項9号)
「当該種類株主総会で取締役を選任すること」「選任する取締役の数」等を
定款で定めることで、定めた内容で取締役の選任をすることができます。

たとえば、複数の企業でベンチャー企業を立ち上げた場合に
それぞれの母体企業から取締役を送り込む場合などで使われます。

ただし、公開会社委員会設置会社では
この種類株式の発行をすることはできません


取締役の「終任」事由

取締役と会社との関係は、「委任」の規定に従います(会社法330条)ので
取締役は、いつでも「辞任」することができ、(民法651条
死亡、破産、成年被後見、会社の破産も「終任」事由となります。

また、会社の解散、任期の満了、資格の喪失、解任によっても
その地位を失うこととなります。


取締役の「解任」

株主総会は、いつでも、理由を問わず、決議により、
取締役を解任することができます。(会社法339条1項)

この解任に「正当な理由」は必要とされませんが、
「正当な理由」なく解任した場合、
解任された者は、会社の対して、損害賠償の請求をすることができます。(会社法339条2項)

また、「累積投票で選任された取締役」を「解任」する場合は、
株主総会「特別決議」が必要です。(会社法309条2項7号)

少数株主による「役員の解任の訴え」

「不正の行為」又は「法令・定款に違反する重大な事実」があったにもかかわらず、
当該役員を「解任する旨の議案」が株主総会において「否決」されたときは、
以下の株主は、30日以内に、「解任の訴え」を提起することができます。(会社法854条

①総株主の議決権の「100分の3以上」の議決権
 「6箇月前」から引き続き有する株主

発行済株式の「100分の3以上の数の株式」
 「6箇月前」から引き続き有する株主
(①②ともに、非公開会社の場合は、6か月という保有期間制限がありません

この訴えは、会社と役員の双方を「被告」とします。 (会社法855条





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取締役
 ・取締役の選任と解任
 ・取締役の責任




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